現代のトンボ玉
トンボ玉という、おもしろい名前を持ったガラス玉は、メソポタミアやエジプトで、今から3,500年も前から作られていました。
トンボ玉とは、穴のあいたガラス玉に、異なった色ガラスで様々な文様を溶かしつけた玉の呼び名です。外国では、アイビーズと呼ばれています。
日本でも古墳時代の副葬品にすでに見られています。形や色がトンボの目に似ているから日本ではこう呼ばれています。江戸時代中頃から使われていた名称です。
江戸時代に、様々な技巧を凝らした玉が作られ、「江戸トンボ玉」と呼ばれています。
江戸時代の「贅沢禁止令」によって、伝統が途絶えてしまい技法は陶芸のように引き継がれませんでしたが、明治時代に再度上陸し、昔の玉を参考にしながら職人、個々人が技法を創作し現代のトンボ玉を作り出しています。
このように作り出されたトンボ玉、ガラス珠は 「Japanese Lamp Beads」としてヨーロッパ、アメリカなどで親しまれています。
その行程は金太郎飴のような色ガラスの棒作りから始まります。ガラスを束ね溶かしたり、ガラスの上から別の色ガラスをかぶせたり、その他いろいろな行程を経て作ります。この硝子棒を適当な大きさに切ったものをトンボといいます。
これをルーペで見ると2色、3色とあめのように巻かれているのがわかる細い硝子の棒。小さく切られて、溶けたトンボ玉に押し込まれ、コテで炎の上で押さえられると、たまの上に花が咲く…。このようにしてトンボ玉は作られていきます。
美しい玉に引きつけられる人の心情は、洋の東西を問わないようで、世界中にトンボ玉にまつわるエピソードがたくさん残っています。その中のひとつとしてアメリカインディアンが大陸を売ったのもトンボ玉との交換でした。時には人までもがトンボ玉と交換されました、今もそのときのトンボ玉がアフリカには、たくさん残っているそうです。
こうしてトンボ玉は、今日でもまだ世界各地で作り続けられていて、世界の人々を魅了し続けています。